仏陀が光明を得て、最初にしたことは、自分の家族のもとに帰ることだった。
そうすることで、なにが起こったかを彼らが知ることができるように……。
そして、以前自分が愛していたそれらすべての人びとを彼が思いだしたというのは、自然なことだ。
だが彼の妻、ヤショーダラは、非常に怒っていた。
それもまた自然で、人間的だ。
ある夜、この男は、行くということを告げることすらせずに、突然逃げ出した……。
その傷は深かった。そして、あなたは驚くだろうが、その傷は、ゴータマ・シッダルタが彼女を置き去りにしたからではなかった――それは問題ではなかった。
彼女はこの男を途方もなく愛していたので、もし彼が自分の内的な探究のために森に行くことを望んでいたのなら、彼女はそれを許していただろう。
傷は、彼が彼女になにも言わなかったことだった。
彼が彼女を信頼していなかったことだった――それが傷だったのだ。
そのちがいを見てごらん! 彼女は普通の女ではない。
これが彼女を痛めていたことだったのだ――
「なぜ彼は私を信じることができなかったのだろう?」……。
そして、彼が着いたとき、突然、彼女は怒っていた。彼女の怒りは爆発した。
彼女は言った。「なぜ、あなたは私に言わなかったの? 私はあなたを妨げはしなかったでしょう。それに、あなたは私を知っているではありませんか――ほんとうによく知っているのに。私たちは何年もいっしょに暮らしたのよ。私が一度でも、なにかのことであなたの邪魔をしたことがあったでしょうか? 私はあなたをとても深く、とても広く愛していました……私があなたの探究の妨げになることはななかったでしょう。なぜ、あなたは私に言ってくださらなかったのですか?」
彼女は何度も何度も彼にたずねた。それから怒って、息子を呼んだ。
仏陀が去ったとき、その子は生後一ヶ月にすぎなかった。いまでは彼は十二歳で、絶えずこうたずねていた。「私の父はどこにいるのですか? 私の父は誰なのですか?」
彼女はその少年を呼んで言った。
「ラーフラ、この人があなたの父親です。彼は臆病者のように逃げたのです。この人があなたに生を与えたのです。さあ、財産を譲ってもらいなさい!」
彼女はあざけって挑発していた。仏陀はいまや乞食だったからだ――どんな財産を?
彼はいったいなにを得たのだろう?
そして、仏陀はどうしたか、わかるかね?
彼はその子をサニヤスにイニシエートした。
彼は、その子に自分の乞食用の鉢を与えて言った。
「私はほんとうはこのために来たのだよ。私は見い出した。そして、私の息子にも見い出してほしい。そしてヤショーダラ、この怒りはもう終わりにしなさい。いまではもう意味がない。お前が怒っているその男はもういないからだ。私は死んで、再び生まれている。私はお前の激しい怒りを理解することはできるが、あの夜にお前を置き去りにしたその男はもういない。もう一度私をみてごらん!」
目は涙でいっぱいになっていたが、彼女は見た……そして認めた。
彼女の怒りはすべて消えた。彼女は仏陀の足もとにひれ伏した。
イニシエーションを求め、彼のサニヤシンになった。
Osho THE PERFECT MASTER, Vol.2, pp.208-210
Osho THE BOOK OF THE SECRETS, Vol.5, pp197-200
過去のある瞬間に絶対的にそうであったものであっても、
次の瞬間にはそうでなくなるかもしれない。
そんな可能性は、どんな場合にもあり得ます。
過去への執着を超えて行くこと。それをどんなに愛していたとしても、憎んでいたとしても、
それはもう今現在は、存在すらしていないかもしれない…。
自分が知ることを遥かに超えた可能性に対して、開くことを忘れないように
したいなと思うこの頃です。
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12/22土-23日 パーミストリーカラーライトビーマーライトペンステップ1コース
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